「もし自分に何かあったとき、家族は財産や手続きをどう整理するのだろう…?」
そんな不安を抱えていても、相続や資産管理の話は「縁起でもない」と後回しにしがちです。
しかし、いざという時に家族が混乱しないよう、財産の整理や遺言書の作成などの準備を進めておくことはとても大切。
本記事では、相続の基本知識から具体的な資産管理の方法までを詳しく解説します。
自分の資産をどのように残していきたいのか、家族にどんな形で受け継いでほしいのか──早めに考えることで、あなた自身も家族も、より安心して日々を過ごせるでしょう。
なぜ相続や資産管理が重要なのか
いざという時の家族の負担を減らす
相続の手続きは、戸籍謄本や財産目録の収集、役所や金融機関とのやり取りなど多くの作業が発生します。
被相続人(財産を残す人)が元気なうちに財産を整理し、相続方法を決めておけば、残された家族の負担を大きく減らすことができます。
家族間のトラブルを防止する
財産の分け方が明確でないと、家族間で意見が対立し、トラブルに発展するケースがあります。
遺言書の作成や生前贈与など、あらかじめ取り決めをしておけば、相続時のもめ事を防ぎやすくなるでしょう。
相続手続きの基本を押さえよう
相続開始後の流れ
人が亡くなると、法律上「相続開始」とみなされます。そこから主に以下のステップで相続手続きを進めるのが一般的です。
- 戸籍謄本や住民票などの取得
- 財産目録の作成
- 相続人の確定・法定相続分の確認
- 遺言書の有無の確認
- 相続放棄や限定承認の手続き(必要な場合)
- 遺産分割協議書の作成
- 名義変更や財産移転の手続き
遺言書がある場合・ない場合
- 遺言書がある場合: 遺言書に基づいて相続が進められます。ただし、書式不備や法定遺留分の問題がないかを確認する必要があります。
- 遺言書がない場合: 民法が定める法定相続分に従って遺産を分割することになります。遺産分割協議で相続人全員が合意すれば別の分け方も可能です。
遺言書や生前贈与の活用
遺言書の種類
遺言書には、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
- 自筆証書遺言: 自分で書いて作成する。費用がかからない反面、書式に不備があると無効になるリスクがある。
- 公正証書遺言: 公証役場で公証人に作成してもらうため、形式の不備による無効リスクが低い。一方で作成費用がかかる。
生前贈与のメリットと注意点
- メリット: 相続時の課税額を抑えたり、特定の人に確実に財産を渡すことができる。
- 注意点: 贈与税が課される場合があるほか、住宅資金や教育資金に限定した特例制度を利用する際は、条件や時期をしっかり確認する必要がある。
財産整理のポイント
財産目録を作る
預貯金や不動産、株式、保険など、自分が持っている財産をリストアップして「どこに」「どれくらい」あるか明確にしましょう。
マイナスの財産(借金やローン)も含めて記載することで、相続人が混乱しにくくなります。
不動産の相続は要注意
不動産は価値が高く、複数人で分割しにくいため相続トラブルになりやすい財産です。
事前に売却や共有方法を検討したり、誰が相続するのかを決めておくと、スムーズに手続きを進めやすいでしょう。
デジタル資産の管理
インターネットバンキングや株式取引口座、SNSアカウントなど、デジタル資産を持つ人が増えています。
ID・パスワード、契約状況などを一覧にして分かるようにしておけば、家族が手続きに困るリスクが減ります。
専門家の活用でトラブル回避
弁護士や税理士、司法書士への相談
相続税のシミュレーションや遺言書作成時のアドバイスなど、専門家のサポートを受けることで安心感が得られます。
また、相続に関して紛争が生じた場合も、専門家が間に入って調整してくれるためトラブルを最小限に抑えられます。
ファイナンシャルプランナー(FP)の意見を聞く
資産管理全般について相談できるのがファイナンシャルプランナーです。
生前贈与や保険商品との組み合わせ、老後資金計画など、ライフプラン全体を見据えた提案を受けると、より納得感のある資産管理が実現しやすくなるでしょう。
おわりに
相続や資産管理の準備は、「縁起でもないから」と敬遠されがちです。
しかし、大切なのは「自分に万が一のことがあっても家族が困らないようにする」こと。
- 財産をリストアップし、形を明確にしておく
- 遺言書や生前贈与など、利用可能な制度を検討する
- 必要に応じて専門家と連携し、早めに行動する
これらを意識しておくだけで、家族もあなた自身も、将来に対してずっと安心して日々を過ごせるはずです。
相続は決して「最後の問題」ではなく、「家族との絆を守るための大切な準備」。ぜひ今のうちから積極的に取り組んでみてください。